時折吐き出すように書く文章。

あれこれ考えながら書いていたお教室向けの「教室だより」。

そして、昔からお手紙が大好きだったこと。

かなり最近になってから

「どうやら私は書くことが好きなのだ」

ということをはっきりと認識した。

まだメールやSNSが存在しない時代に育った私は、幼い頃から手紙が大好きでした。

郵便受けをのぞいた時、自分の名前が書かれたお手紙やハガキを発見した時のドキドキ感。

選ばれた便箋とハガキをしばらく眺め、書かれている文字から伝わってくる、差出人の人柄や温もり。

お手紙が、たまらなく好きでした。

間違えないように、丁寧に、直筆で記すお便り。

清書前に下書きを書く。

考えながら幾度も言葉を選びなおし、文章を校正していく。

それを繰り返しながら、相手に伝えたいことを、誤解がないように言葉にのせる努力をする。

そこに、自分の偽りのない、飾らない、正直な気持ちを記すことが出来ているかを確認する。

手紙を記すその時間は、物理的には一緒にいない相手のことだけを頭に思い浮かべながら書く。

書きあがってからも、幾度も読み返してみる。

最終的に自分が納得できたら、

手紙の内容、季節、相手にあった便箋やハガキを選ぶ。

間違えないように清書をする時の緊張感。

仕上がった時の達成感。

そして切手を選び、ポストに投函する。

その全ての作業が神聖で尊い時間。

その後は、ひたすらその手紙から始まる、相手の反応を想像して楽しむ。

実際にお返事がくるかどうかのスリル。

幾日かして、お返事が届いた時の✨♥✨♥✨

 自分が手紙を受け取る時。

相手がそのお便りを書く時間を私に捧げて下さった、その思いと愛情を受け取る。

それは、お金では決して買えない、相手の「時間」と「思い」が込められた極上のプレゼント🎁。

だから、お手紙はいつも特別な宝物です。

 いつしか時代は変わり、今ではメールもあれば、LINEやその他のソーシャルメディアが当たり前のように私達の生活の一部となっています。

大好きだったお手紙のやりとりも、いつしかほとんど無くなってしまいました。

携帯やパソコンを使えば、時差なく、そしてスピーディーに国境を越えて大切な人とコミュニケーションがとれる便利な時代。その良さも十分知っているし、私もその恩恵を思いっきり受けている一人です。

けれども、「手紙を書く」という行為とは、質が違う。

出来るコミュニケーションの深さ、築くことが出来る関係も違うように感じる。

「早く」、「すぐ」、「待たずに」相手の声を聴きたいこともある。

そして、それが好都合な場面も沢山ある。

でもでもでも。。。

「手紙」がもつ「時間の流れ」には、「特別な時間」が含まれていた。

相手の声が聞こえない、相手にまだ自分の言葉が届いていない

空白に感じるけれど「特別な時間」。

何かが起こっているようで、起こっているのかもわからない時間。

でも、確かに思いのエネルギーがお互いの間を行き来しているような感覚。

それは、届いているようで、届いていないような

モヤモヤして、はっきりしないけれど、ワクワクする。。。

「空想に浸れる時間」。

私は、その「空想に浸れる時間」が好きだった。

 

私にとって最初の、そして生涯で一番大切な文通相手は、母方の祖父でした。

その文通は、恐らく私が小学校３～４年生の頃から始まり、私が成人して結婚をし、祖父が天に召されるまで20年ほど続きました。

祖父から届いた書簡の数々は、今でも私の一番の宝物です。

今もその手紙が存在することで、

例えもう会えなくても、

祖父が確かに自分のことを思ってくれていた時間があったことを確信できる。

しかも、それは、私だけに向けられた祖父の時間。

そして、祖父が生前記した文字から、時空を超えて、彼のぬくもりや愛情を感じ続けられる。

祖父からの手紙には、

まだ母が幼い時に亡くなった彼の愛妻、私の祖母との馴れ初め。

祖母亡き後も、生涯祖母を愛し続けた祖父の気持ち。

祖父のこども達（私の母を含む姉弟）への思い。

戦時中の体験談。

老いによる体の不調とのお付き合い。

そして何よりも、人生の先輩として、成長過程にある私への沢山の人生の指針と願い、そして数々の祈りが込められていました。

私の祖父は、生涯を神様に捧げた牧師でした。

ですから、彼から届くお手紙には、沢山の聖書の言葉が書かれていました。

幼い私にとっては、難解な内容、時に重たく不可解な事柄、理解したくても理解しきれないことなども多く記されていました。

でも、わからないことがあるからこそ、それをいつか理解できるようになりたいという気持ちが芽生えました。

かなり幼い頃から私は、祖父の信仰に導かれた人生の不思議に興味津々で、少しでも祖父が生きる世界を知りたい、そこに近づきたいと願っていました。だから、手紙を通して、祖父に沢山の質問や疑問を投げかけました。

 

話は変わりますが、

こどもが成人するまでの期間、特に思春期と青年期には、本当に数えきれないほどの誘惑があります。

そして、私も痛い目にあったり、迷子になったり、思い出したくないような状態に陥ったこともあります。

正直、生きていたくないと思ったことも幾度かありました。

でも、そんな時、いつも「生きる」ことを選択するのを助けてくれたのは、祖父を筆頭に、それまでの人生で支えて下さった大切な方々の存在でした。

ピンチの時、そういう人たちの顔が頭をよぎり、その人達を「悲しませたくない」という思いが私を救ってくれました。

振り返ってみると、文通を通して時間をかけて関係を構築していったことが、やがて暗闇に迷い込んでしまった時に、それでも信頼できる存在の方向を指し示してくれるお手伝いもしてくれたのだと信じます。

幼い頃から、そんな風に信頼できる人が、常に身近に存在してくれたことは、私にとってとても幸いなことでした。

手紙は、受け取ったその時だけではなく、保管しておくことも出来る。

そして、年月を経て、年を重ねてから、幾度となく読み返すことが出来る。

そうすると、まだ幼い時に理解できなかったことや、書かれた当時の相手の思いも、今の年齢なりの解釈で味わうことが出来る。

なんで今ブログを始めようと思ったのか。

読んでもらえるかもわからない文章を書いているのか。

自分でも、どうしてか、本当はよくわかりません。

わかるのは、ただ　「どうやら私は書くことが好きだ」ということ。

そして、「書きたい」と思うことが頭に浮かんでくるから、それを書く。

このブログを書き始めてから、ここに書くことが、どこか「手紙を書くこと」に似た感覚に感じられます。

その時々に自分の気持ちが向く方向に思いを注ぎながら、文章を綴る。

書きながら、幾度も言葉を選びなおす。

読み直して、自分の真意が伝わる文章なのかどうかを考える。

そこに、その時の思いと文章に合う写真や絵を添える。

もう一度見直す。

手直しを加える。

そして、読んでもらえるかわかない文章を宙に放つ。

書いた後には

ちょっとした空白の「空想に浸れる時間」が始まる。

 現状は、ブログを始めようと決めた時に想定していた状況とは全く違います。

けれども、予定していたこととはまるで違う今

手紙を記すようにこのブログを書くことが出来ることは、

ちょっとした精神安定剤であり、

ある種のギフト🎁のように感じています😊