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不思議な導き③(衣服 その1)

皆さんは毎日

どのようにしてその日に着るお洋服を決めていますか?


既に記してきた通り、

私は、これまで、日本以外に、

チリ、アメリカ、ネパール、バングラデシュ

そしてパキスタンで生活をする機会をいただいてきました。


誰しもが、そうした新しい国で生活を始める時

きっとまずその土地の文化、歴史的背景、食文化、気候、治安

主たる宗教、民族構成等について学ぶところから始めるのではないでしょうか?


そんな中、私にとって一番の楽しみは

その土地で暮らす人々が身に纏う衣服について学ぶことです。


チリやアメリカでは、

人々は、特別な行事の時以外には

基本的に私達が日常的に着るようなお洋服を着ていたので、

特に学んだことがあるとすれば、

TPO(Time・Place・Occasion)に合わせた装いの違いについてでした。

けれども、お洋服の種類という意味では、

大きな驚きはありませんでした。


他方ネパールでは、

実生活の中で普通に民族衣装を身に纏う人々に触れる機会を与えられました。

他民族国家のネパールでは、

民族毎に少しずつ装いも異なりました。

そんな中で、特に身近にあったのは

「クルタ」(クルタスルワル)、サリー、

そしてチベッタンドレスでした。


クルタスルワルというのは、

長いチューニックのようなシャツ/ワンピース

パンツとショールの3点がセットになった衣服です。


この同じ3点セットは、

バングラデシュ、パキスタン、インドでも女性によって着用されています。

国によって、少しずつ呼び名が異なるようですが、

基本的に「シャツとパンツセット」という意味の表現が使われています。


私は、日々、その日のお天気や気分

暮らしている街の色や雰囲気

その日の予定や

その日に会う約束をしている人、

訪れる予定の場所を想像しながら衣服を選んでいます。



暮らしている国や場所によっては

その土地に馴染む色を意識します。


身辺の安全管理の意味も含めて

暮らしている国の文化や風習を重んじ

その場所に同化する努力もします。


そんな時には

例え意に反していても、自分の好みや嗜好を抑えつつ

自分が身に纏うものを変える試みをします。



けれども、やはり衣服というのは

自分の体の一部であり

自分らしさを表現するもの。

無理をして冒険を試みても

結局はどうも自分らしくなく、

ぎこちなくなり

気分が落ち着かず

洋服のパワーに負けて、

疲れてしまうこともあります。


そういう意味で、

衣服は自らのアイデンティティーを表現する道具であり

決して必要以上の無理はしてはいけないものだと

最近つくづく感じてます。


ということで、様々な国で、

その地の衣装を身に纏う努力はしてきましたが

私自身、結局は

時間と共に、そうした衣服を少しずつ自分風にアレンジして

心が落ち着く色やスタイルに変容することを学んできました。


どこで暮らしていても、

自信をもって、自分らしく、

そして、安心して生活できる姿を確立することは

とてもとても大切なことだと思うのです。

心地良い衣服を身に纏いつつ、

「To be comfortable in your own skin」な状態を維持すること。



と、

暮らしてきた国々で、

衣服を使った同化の試みを繰り返してきたわけですが

今回は、パキスタンでお洋服を探求していくうちに、

巡り巡って

「不思議な導き」とのつながりを見出したお話を二回に分けて記します。


前半(その1)は、

パキスタンで私が着用している「シャルカミ」作りの過程を中心に

そして、そのお話を踏まえて、

(その2)に

本題の「不思議な導き」を感じたエピソード綴っていきます。

(その1)に興味の無い方は、(その2)からお読み下さい😊


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イスラマバードで生活をすることになり、

この度も、私が真っ先に取り組んだのは

こちらの風土に合うお洋服を仕立てることでした。



お洋服は、実は着方によっては、

他者との関係構築を助けてくれる道具にもなります。

なので、こちらの土地のお洋服を身につけることによって

少しでも早くこの土地に馴染み

ここの人々の心に近づきたいと思ったのでした。



パキスタンは、バングラデシュと同じイスラム教の国なので、

こちらの人々の慣習に合わせた装いを心がけようとすると

こちらの女性が着用している

通称「シャルカミ」

シャールワール カミーズを着用することになります。



この「シャルカミ」、

最初に記したネパールの「クルタ」(クルタスルワル)

そして、バングラデシュの「サロワカ」

(サロワール カミーズ)と呼ばれているものと同じタイプの民族衣装です。

つまり、

お尻が隠れる長いシャツ、パンツ、大きなショールの3点セットのことです。



使用されている生地の種類によって

日常的な普段着から

ある程度のお出かけ着になる装いでもあります。

さすがに結婚式やパーティーともなると、

素材や装飾、キラキラのビーズ等が加わってきて

デザインも少し変わるようです。



この3点セット

長いシャツとショールで

女性の胸や腰まわりの曲線を隠すという役割もあり

この地の文化的な背景も踏まえて成り立っています。


こうした国々では、今でも

女性が大胆に肌を露出する衣服を身につけることは

恥ずかしいことだとされています。

そうした意味で、パキスタンでは、

一般的な女性が(半袖で)腕を出している姿もほとんど見られません。

ということで、いくら気温が高くても

基本的には長袖のシャツと長いパンツに

必ずショールを着用します。

最も、暑いからこそ、

肌を布で覆って守るという側面もあるように思います。


そうそう、少し補足ですが

同じイスラム教の国でも、

国によって守られている戒律の度合いが違うようです。

ですから、バングラデシュやパキスタンでは

中東諸国のように

女性がブルカや布で、

体や顔全体をすっぽり覆うような装いをしている姿は

そう多く見かけることはありません。

むしろ、「シャルカミ」を着用し

ショールを使って露出部分を調整している女性が多いようです。


ショールは、身体の線をぼやかすための道具でもあるので、

いくら暑いからと言っても、決してショールを省くことはできません。

けれども、暑い時には、

ショールが帽子や日よけなど、実用的役割をなします。



実は、イスラマバードで暮らすことが決まり、

以前バングラデシュで着用していた「サロワカ」を持参しましたが

残念ながら、通常のお洋服と同じで

3点セットにも流行があることが分かりました。

また、お洋服の色合いや使われている素材にも、

はっきりとお国柄が出ることにも気づきました。

同じ綿素材であっても、

ちゃんとその国の気候に合った織りや厚みのものが選ばれ

愛用されているようです。


色彩については、

バングラデシュでは、奇抜な原色使いが目につきましたが

(これは、人々の肌を引き立てる色だったのだと思います)

パキスタンでは、原色もみかけますが、

どちらかというと日本人好みに近い

繊細で、少しくすんだニュアンスカラーも多く使われています。

また、デザインや色使いにも、細やかなこだわりを感じます。


ネパール、バングラデシュ、パキスタンで生活をしてきましたが

正直なところ、

今回のパキスタン人の衣服の色合いとデザイン

彼等の繊細な美的感覚が

これまでの中で、一番私の好みに合っています😊


ということで、

持参したバングラデシュ製のお洋服は

ここパキスタンでは、ほとんど使い物にならず💦

すぐに何着か「シャルカミ」を用意することになりました。



ちなみに、「3点セット」の流行というのは

シャツの長短や幅

袖の形、長さ、太さ

パンツの形、長さ、太さ、装飾の在り方

そして、季節に合わせたその時の流行りの色というのがあるようです。



今回パキスタンで初めて出会ったのは、

装飾の施されたパンツ。

同じ白っぽいパンツでも

長さや太さ、

装飾のレースやリボンの入れ方

スリットの有無や位置等

シーズン毎の流行りがあるそうです。


このようにパンツの装飾にこだわりを持ったファッションも

ネパールやバングラデシュでは、あまり出会うことがなかった

パキスタンらしい「繊細な美的センス」の現れだと私は感じています。

さて、お洋服の色目なのですが

私自身、もともとアースカラーが好きなのですが、

イスラマバードの街の様子を見回すと

主に男性がアースカラーを着ているので

こちらでは、出来るだけアースカラーを避けることに決めました。

恐らく、これまた人々の肌の色とのバランスもあるのでしょうけれど

一般的に女性は色鮮やかなお洋服を身につけています。

なので、私も色鮮やかな生地の中から、

好きな色やデザインを選んで

何着かの「シャルカミ」を用意しました。


ちなみに、今の日本ではお店に行って

既製品の仕上がったお洋服を購入することがほとんどですが

こちらでは、既製品を購入する以外に

生地を買って、自分の体に合わせて

好きなデザインのシャルカミを安価に仕立ててもらうことも出来ます。


ラッキーなことに、

たまたま我が家のコックさんの奥さんがお仕立てが出来る人なので、

最初の数着は、生地を購入して

コックさんの奥さんに仕立ててもらいました。


太陽の日差しが強く

明るい色が似あうイスラマバードでは

あえて日本では選ばない色合いの派手な生地を選びました。

これら、最初に購入した生地の中には、

シャツ、パンツ、ショールの生地3点がセットになっているものもあれば

シャツだけのもの、ショールとシャツだけのものもありました。

けれども、着用する時には、基本的に3点を身に纏うことになります。


通常、ショールやパンツがついていない場合は、

持ち合わせの中から、合いそうなものを選んだり

合うものを仕立てたり、新しく購入すれば良いのですが。。。

今回、お洋服を作っていく中で

パキスタンには、

以前暮らしたことがあるネパールやバングラデシュにはなかった

楽しみがあることも学びました。



それは、布地を染めるということ!!

例えば、好きなシャツ用生地を手に入れたけれど

それに合うショール生地が無いという場合には、

パキスタンでは、

シャツの生地に合うショールの染めを注文できるのです。

それも、微妙な色の違いをも染め分ける染色職人さんに注文して。

すると、本当に注文した通りの色合いで仕上がってくるのです✨

ショールだけではなく、

パンツやシャツに関しても、好みの色がなければ

白い生地を選んで、好きな色に染めてもらうことが出来るようです。



そのことが分かってから

よくよく生地屋さんを見てみると

なるほどあらゆる種類の白い生地が沢山置いてあるのです。

無地のもの、刺繍がはいったもの。

さらには、装飾用のレースも、白いものが沢山。

それは、こちらの人々が白が好きだからではなく

染めることを前提に、あえて白いものが用意されているようです。


そうと分かれば、試さないわけにはいきませんね。

そこで、私が勝手に「イスラマバードの”ユザワヤ”」と名付けたお店に行き

夏用の白いシフォン生地を選び

既に購入していたお洋服や、

日本から持ってきたけれど、ショールが無いお洋服に合わせて

ショールを染めてもらいました。


染色職人さんは、生地屋さんの裏手のスペースを間借りしていました。

そして、☟左奥の窯で布地を染めていました。

右手にぶら下がっているのが、

実際に染め終わった商品です。

そして、右手前にある無地の色反物も、

全て白い生地を染め上げたものです。

染めの注文は、もちろん単色でも出来ますが

多色染めも可能なようでした。

この時には、実験的に二色までの染めを試してみました。

布地の上の色の配置希望箇所も、その場でお願い出来ます。

価格は、使う色の数、デザイン、生地の大きさによって異なるようです。



生地に合わせ

沢山の色見本から

お洋服に合いそうな色を選び

注文したショール

そして、縫製された衣服の仕上がりはこんな感じになりました✨

希望すれば

ショールの色に合わせた糸を選んで

ショールの縁かがりをお願いすることも出来ます。

こうして、日常着を数着注文し

こちらでのお洋服作りの

色々な可能性を学んだところで。。。

仕上げに、私自身の年齢に合わせ、

ある程度フォーマルな場面に出ても恥ずかしくない

より高級な「シャルカミ」も作成することにしました。


そこで、ある程度ハイソなマダム達にお会いする時も

TPOに合っていて、恥ずかしい思いをしないで済む

クオリティの高い「シャルカミ」について調査を開始。

調べていくと、プリント生地ではなく

刺繍が施されており、

少しレースやリボンの装飾がついているお洋服が安心なようだったので

そのようなお洋服を仕立てるための材料を探しました。


コロナ禍で、社交の機会は全くという位ありませんが

いざという時のために、

「社交の場でも恥ずかしくないお洋服」というテーマで

以下の二着の生地を選びました。

一見プリントに見えるかもしれませんが、

☟の生地には、全面に機械刺繍が施されています。

左のものなど、和柄にも見えますよね。

生地を選んだら、次は「シャルカミ」のデザインを選び

そのデザイン作成に必要な小物を選びます。

選んだデザインの袖、裾、身頃に異なるレースを使い

ショールの縁もレースでかがることに決めました。

そこで、それぞれに合うレースを探しに

再度、「ユザワヤ」に行き

店員のお兄さんに相談をしながらレースを選びました。

(そうなんです。こちらの生地屋さんの店員さんは

ほぼ全員男性。一瞬「大丈夫なのかな?」と思いましたが、

皆さんかなりの目利きで、とても良いアドバイスを下さいました😊)

そして、既に記した通り

選んだレースは、生地の色に合わない白ばかりなので

裏にある染色屋さんに頼んで、

生地に合ったベージュに染めてもらいました。

私自身、2着とも、ベージュのレースをつけたかったので

「どちらもベージュで!!」と言うと

「待て待て、それぞれにベージュの色味が違うのだから

ちゃんと生地に使われているのと同じ色を注文しなさい」と店員のお兄さん。

「なるほど、ベージュのちょっとした違いにも気を配る必要があるのね💦」

そうして仕上がってきたのが☟です。

ちゃんと異なるニュアンスのベージュ色に仕上がっているのがわかりますか?

こうして、パーツがすべてそろったのでした。

そこで、今回は

生地のグレードに相応しい熟練のテイラーさんを紹介していただき、

お仕立てをお願いしました。

仕上がりまで約2週間。

出来てきた完成品は、☟こんな感じです。

如何でしょう?

さて、お洋服のお話は、ここまでで半分。

「不思議な導き③」として書きたかったことは

ここまでの、「シャルカミ」作成の後に起こった出来事なので、

今回のこの文章は、

「不思議な導き③ (衣服 その1)」ということで

一旦おしまいにすることにします😊

・・・・・つづく・・・・・