宇宙を感じる大地

約4年前、夫のパキスタンへの転勤が決まった時

私にとっての大きな悩みは

自分の身の振り方でした。

一年という年月をかけて

様々な可能性を模索していた時に

最初に頭を過ったのは

「宇宙を感じられるような広い大地に立って、

そこで自分が何を感じるのかを知りたい!!」

ということでした。

もしも自由な時間を手に入れることになったら

「パキスタンに行く以外にも選択肢があるかもしれない」とも思いました。

そこで、漠然とですが

「広い大地と言えば、アフリカ?」と思い

当時、親しい知り合い達が

それぞれ異なるアフリカの3か国で暮らしていたご縁もあって

「まだ訪れたことがないアフリカに行ってみるのも一つの選択肢だ」

と真剣に考えたことを覚えています。


最終的には、パキスタンにフンザという場所があることを知り

「ここに行ってみたい!!」という気持ちに駆り立てられ

それが一つの目標になりました。

何故なら、フンザには私が求めていた

「宇宙を感じられるような広い大地」があったからです。

そうして、パキスタンでの生活が始まり

やがて夢叶い、フンザの地を訪れることが出来ました。

その後、友人達も皆、

アフリカの国々を離れたので

「アフリカに行くチャンスは無くなったな」と思っていました。


月日は流れ、今の私は

こうしてジンバブエで暮らしています。

一時期胸に抱いた

「まだ足を踏み入れたことが無いアフリカ大陸に行ってみたい」という思いが

いつの間にか、あれから数年後に叶っているのです。

当時の私の頭の中には

あくまでも「旅行者」としてアフリカの地を訪れるイメージがありましたが

今は「旅行者」どころか、「生活者」となっていることにも

正直、神様のいたずらを感じます。


こうしたことだけでも

十分に人生の不思議と深い恵みを感じているわけですが。。。

この週末、思いがけない形でフンザ以来の

「宇宙を感じられるような広い大地」に導かれました。


それが、私が暮らすハラレの街から

北に向かって27キロほどのところに位置するDomboshawaという国立公園です。


少しジンバブエのことをご説明すると

この国は、長らくローデシアという白人支配の国でした。

それが、1980年に新しく黒人政権が樹立され、

国名がジンバブエになったそうです。

この時につけられたジンバブエという国名は

ショナ族の言葉で「石の家」という意味なのだそうです。


そして、この「石の家」という名前は

(ユネスコの世界文化遺産に登録されている)

11~15世紀の間に存在した

モノモタバ王国時代に建設された

「大ジンバブエ遺跡」という巨大石造建築群に由来しているようです。

(「大ジンバブエ遺跡」は、ハラレの南方300キロのところにあるようなので

いずれ是非訪問したいと思います。)


今回訪問したDomboshawaとその周辺地域は

「大ジンバブエ遺跡」ではありません。

けれでも、この国が「石の家」と呼ばれるだけあって

なるほどジンバブエの各地には

「面白い巨石が存在するのだな」

ということを肌で感じられる場所でした。


以下に👇Domboshawaに行く道中でみた風景をシェアしますね。

当たり前のように普通に存在する巨石の数々が

そのまま自然が生み出す芸術みたいだと思いませんか?

そして、その巨石の周辺に民家が建てられ

現地の人々の生活が成り立っている様子が新鮮で素敵でした。



こうした風景を楽しみつつ

舗装されていない赤土のガタガタ道に

少々うんざりし始めた頃

Domboshawa国立公園に到着しました。



この日のお天気は珍しく曇り。

どんより雲に覆われた空の切れ目から

ちょっとだけ青空が見え始めた頃

公園を歩き始めました。




お恥ずかしながら

予備知識も何もなく

いきなりこの地に連れていってもらったので

「ここは、道中の車窓から見たような巨石群を近くから見られる場所なのかな?」

とだけ思っていました。



係の方に

「ここを見るのにどれぐらい時間がかかりますか?」と質問すると


ちょうど公園内一周を歩き終えた白人の観光客の方が

「だいたい45分ぐらいよ。

地面の矢印に沿って歩いていきなさい。

そして、矢印が二手に分かれるところでは、

必ず絶対左の矢印の方向に行きなさいね。

そうしたら、壁画と洞窟にたどりつくからね。

壁画は絶対見るべきよ!!」

と教えて下さいました。



「え?壁画ってなんだ?」と思いつつ

主に花崗岩で出来ている斜面を登り始めました。

しばらく歩いていくと

だんだんと視界が開けていき

教えていただいた通り

矢印が二手に分かれていました。

そこで、左手に進んでいくと

更に反対側の丘や遠くの山並みが見える開けた斜面へ。

「わ~気持ちいい!!」

そう思ったのは、どうやら私達だけではないことが

すぐにわかりました。

遠くから叫ぶように大きな声で歌を唄う男性の声が聞こえてきたのです。

よく見ると、彼は反対側の斜面にいて

まるで世界を独り占めしたかのような開放感で

ひたすら唄い続けているのです。

見晴らしの良い場所に立ったら

お腹の底から声を出したくなるのは

世界共通みたいですね😊

やがて右手に

屋根のように大きく迫り出した巨石が見え

そこに私達を奥へと導く黄色い矢印が。

少しだけ草木を分けて奥に進むと

こんな光景が広がっていました。

後でわかったのですが

どうやらジンバブエには

かつてSan族という民族が暮らしていたようです。

そして、この壁画は

約6000年前にSan族が描いた壁画の一つのようです。

薄くなっているところもあり

壁画全体がどんな物語を描写しているのかは理解できませんでしたが

一つ一つの動物描写は見事ですよね。

後日訪れたハラレ市内の博物館によると

ジンバブエ各地にはこのSan族による壁画が3000以上残っているようです。

彼らは狩猟民族で、国内を転々と移動しながら暮らしていたようです。

動物の皮を身に纏い

当時この地に多く存在していたダチョウの卵の殻が

彼等の生活で重宝されていたようでした。

ダチョウの卵の殻はかなり硬いので

水を入れる容器として利用したり

女性達は、殻を砕いて作ったビーズを

ネックレスに仕立てて身につけていたようでした。



写真にある壁画の脇にあった洞窟は、

屋根となる巨石の上部の穴につながっており

「儀式で生贄にした動物を調理する煙が

上部の穴から抜けていくようになっていた」ようなことが書かれていました。



壁画との出会いだけでも

かなり妄想が膨らみワクワクしましたが

その場を離れ、また矢印に沿って歩いていく中でも

更なる大きな感動を味わいました。



灰色の雲がだんだんと開け

空が灰色と青空にくっきりと分かれていく様子。

そして、足元に広がる花崗岩の地面と

目の前に広がる広大な風景は

私にとって

「宇宙を感じられるような広い大地」そのものだったのです。

天があって、地があって

そこに小さな小さな自分が立っている。

その小さな自分は、何故かこの地球で生かされていて。

そこで呼吸をしている。

でも、その小さな自分が生きる地球は

更に大きな宇宙の中の数えきれない星の小さな一つで。

その全てが創られた長い長い歴史があって。

今の自分は、その長い長い歴史の

本の短い期間だけこの地球上に生を与えられている。

地球誕生後のある時期に命が生まれ

地球上に、様々な生物が生きられる環境が整い

壁画を描いたSan族の人達の生活の営みを経て

更に長い長い命のバトンレースがあって

今の私達の命がある。



まあ、

そんなことよりも

ただこの大地に立って

呼吸をしていることの神秘に

感謝の気持ちでいっぱいになりました😊



そんな風景を経て、もう少し歩いていくと

丘の上に突然巨石が!!

これも、今回学んだのですが

こうした不思議なバランスで存在する巨石を

「バランシングロック」と呼ぶそうです。

そして、ここジンバブエの「バランシングロック」は

人工的に積み上げられたものではなく

風雨にさらされる中、年月をかけて形成されていったもののようです。

まさに、天と地の創造物ですよね😊

最初は一つだと思っていた巨石ですが

丘を下りながら、後ろを振り返ると

実は、違う角度から見ると

3つ仲良く鎮座していることがわかりました。

巨石と風景のスケールが

なかなか伝わりにくいかもしれませんが。。。

ちょこっと写っている人の大きさとの対比で是非想像してみて下さい。


下から見上げる巨石達は

これまた何とも神秘的で

その場を離れがたい気持ちになりました。


Domboshawaは夕陽でも有名だとのこと。

また、雨の日には

足元の岩肌を伝って流れる雨水の様子が格別とのこと。

きっと訪問時の気候やお天気で

まるで違う表情を見せてくれる場所なのでしょうね。


偉大なパワーと神々しさを感じたDomboshawa。

帰り際、係の方に「必ずまた戻って来るね」と伝えて帰路につきました。

帰路についた夕暮れ時、分厚かった灰色の雲はかなり押し流され

力強い青空が張り出していました😊

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