不思議な導き ⑩ (ショールと風になびく布 その1)

私は、ずいぶんと前から

スカーフ、ストール、ショールと呼ばれる布が大好きです。

ただの長方形や正方形の布ですが

着用すると、そこにドレープが出来たり

風になびく遊びが生まれてくる。

そのような、一期一会の表情と

自由が残されたに布に私は目がないのです。

このこととのつながりで

パキスタンを訪れてから感じている

「不思議な導き」について、

これから二回に分けて書いてみようと思います。


遡って記憶を辿っていくと、

こうした「自由と動きが残された布」

ショールやスカーフに魅かれたきっかけは

中学生に上がる時に始まったチリ生活だったように思います。


インターナショナルスクールに通い始めてみたら

同年代の生徒も

そして先生方も

とてもさりげなく、そして粋に

Tシャツやセーターの上に

スカーフ、ストール、ショールを纏っていて

「かっこいい!!」となったのです。


薄手のスカーフやストールだけではなく

アンデスの麓の国ということもあり

冬になると、男女問わず

手紡ぎのウールで編まれた素朴なケープやポンチョを

防寒着として身につけていることも珍しくありませんでした。


決して洗練されているとは言えず

当時はその素朴さに、正直「田舎くさい」とも感じていましたが

今となれば、その手作りのぬくもりが

本当に「素敵だったな~」と思います。


そんな環境で中高生時代を過ごしたからか

私にとって、大小の布を身に纏う装いは

極当たりまえの自然なことになっていきました。


考えてみると、

その後の人生の歩みにおいても

「風になびく布」の文化との接点が多くありました。


バブル全盛期の日本の街では

名だたるヨーロッパの高級ブランドの

スカーフやショールを身につけることが流行していました。

最も、煌びやかな高級ブランドは高価すぎますし

チリ育ちには洗練され過ぎていて

素朴さに欠け、違和感もあり、

あまり興味の対象とはなりませんでした。

ただ、この時代に多用された

ペイズリー柄は

未だに大好きなモチーフです。

(このペイズリー柄については、「不思議な導き⑪」にもう少し詳しく書きます。)

当時はスカーフやストールのみならず

ネクタイ、ブラウス、スカート、ワンピース等の生地に

多くのペイズリー柄が使われていて

私も好んで身につけていました。


そんなスカーフ、ショールの流行した時代は

国産の繊維業界もまだ元気で

良質な素材を使った布製品も

手頃に手に入る時代でもありました。

時が流れ

やがて母親となり

ネパールで生活をするようになった時には

今度は世界中がパシュミナブームに包まれました。

特に、指輪の中を通るほど薄くて柔らかくて暖かい

最高品質のシャトゥシュという材料から使われた「リングショール」は

とても希少なものとして注目を集めていたことを記憶しています。

(こちらについても「不思議な導き⑪」でもう少し触れます。)


そして、既にご紹介してきたように、

私が生活をしてきた

ネパール、バングラデシュ、パキスタンは

女性の装い「シャルカミ」の仕上げに

必ずショールを身に纏う文化圏。

ネパールとバングラデシュには、更に

一枚布を体に巻き付けて着用する

サリーの文化もありました。


今思えば、サリーこそ、定められた完成形が無く

布の特性と戯れながら、

ひだやドレープを自分で作り上げて楽しむ

素敵な衣装の最たるものでした。


というわけで、

私の人生の中では

異なる素材で出来た

スカーフ、ショール、ストール、時にはサリーと名がつく布が

極自然な形で、装いの一部となってきました。


だからか、ショール着用がマストな文化圏に居ない時も

私はかなりの確率で

何かしらの布を、身につけてきました。

いつしか、それが私らしさの一部となってきたのかもしれません。


結果として

私のクローゼットの中には

長年に渡って方々で入手した

異なる素材からなる

スカーフ、ストール、ショールの

膨大なコレクションがあります。

そして、パキスタンに来てからは

このコレクションが目下増大中です💦


そんなバックグラウンドをもつ者の視点から

パキスタンの街を見渡すと

男性、女性に関わらず、

人々が頭、首、肩に巻き付けている

「風になびく布」を見ているだけで

自然と心が躍ります。


特に冬になってからは

アースカラーの綿のお洋服に

ナチュラルカラーの防寒用の毛のショールを巻き

頭にはこれまた羊色のウールの帽子を被り

顔には深い皺が刻まれた年配の男性を車窓から見つける度に

「カッコよすぎる❤~~~!!!」

(横でそれをきいている夫は、

「えっ?何が?誰が?」

「あのおじいさんかっこいい!!」

「え!? あ。ごめん。僕にはその感覚よくわからない。。。」)


今の私は

最新のあったか素材で出来た

デザイン性豊かなコートやダウンで防寒をする人々がいる日本の街よりも

ナチュラルで素朴な色の

天然素材の「風になびく布」を身に纏っている人達がいる街の方が

不思議と心安らぎ、癒されます。


さて、ここまでは、あくまでも前置きで、

実は、「風になびく布」が好きという事を力説してきたことには

私なりの理由があります。

長年ショールを含む

「風になびく布」を好んで身につけてきた私。

ショール屋の店主さんに出会ってから

そんな私の習性には

もちろん、チリ時代から始まって、

今まで暮らしてきたいくつかの土地の影響もありますが

更に「遠い過去の魂の記憶」とのつながりがあるのではないかと

いつしか思うようになったからです。


その「遠い過去の魂の記憶」については

これまで「不思議な導き」として記してきたこと

そして、まだ書きたいと思っていることを全て書き終えた時に

再度詳しく記したいと思っています。


全ては、誰にでもある「偶然の出会い」と考えることも出来るのでしょう。

けれども、少し前から

私の中では、何故かこれらの「偶然の出会い」が

全て一つの方向を指しているような気がしてならないのです。

そして、今経験している「ご褒美の時間」は

自分の「魂」と向き合い、

それと再会し、新たな発見をし、

全てを整理してつなぎ合わせることを許された時間なのだと感じているのです。


このようなことについて「語りたい」と逸る気持ちを抑えつつ

まだもう少し

パキスタンで経験をしている「不思議な導き」エピソードを続けます。

そこで、「不思議な導き⑥」👇で

パキスタンのショール文化についてお話をして下さった

ショール屋の店主さんをご紹介しましたが

その店主のお話が

ここまで記してきたことと、大きく関連していたので

より詳細に書き残しておきたいのです。

その内容は

・ ショールの紀元

・ ショール生産の最近の動向

・ ペイズリー柄の起源や意味

・  ここ20年間のショールの原材料の質の変化

・ パシュミナとカシミアについて

・ カシミールの刺繍の種類

・ カシミール地方のショールがヨーロッパに渡った歴史

・ シャトゥシュについて 等と

かなり広範なテーマをカバーしていたのです。

彼のお話から、多くを学び、

あらゆる意味で、その内容が

私の長年の無知を刺激する謎解きのようで

目からウロコの説明が沢山含まれていたので

そのことについて書きたいのです。

このお題も長くなりそうなので、

続きは次に委ねることにします😊

最後に。。。

チリのお話に触れたついでに

5年ほど前にチリを訪れた際

ハンディクラフトのフェアでとても素敵なお店に出会いました。

手染め、手紡ぎ、手織りのショールやブランケットを販売するお店。

少し羊の香りが残る

素朴でぬくもりがある毛糸を使った作品の数々にウットリ✨

出来るならお店ごと全部持ち帰りたい気持ちを抑えつつ

数点の商品を選んで日本に持ち帰りました。

その素敵なお店のブースの写真をシェアしますね😊

つづく➡

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